歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士 など 歯科界には国家試験資格を有せずして
就業できない職種があります。
歯科界隈の不人気か少子高齢者の影響なのか、現在はどの職種も人材不足が言われて
います。
中でも歯科技工士の不足は最も深刻で、喫緊の課題とされています。
AIやロボットに置き換わる他の職種が多い中、歯科界でも多くのAIやロボットが活躍しています。ただ、熟練の歯科技工士にしか作れない物が多数あり今や技工士は貴重な職業です。
しかしながら兵庫県には歯科技工士を養成する教育機関がなく、大阪府が最寄りとなり、それも歯科技工士の減少の一つなのかもしれません。
以下読売新聞の記事です。
なり手不足と高齢化、歯科技工士不足で今後「入れ歯難民」の発生も…製作期間もますます長期化 
入れ歯や歯の詰め物を作る歯科技工士の不足が千葉県内で深刻化している。人口10万人あたりの就業者数は全国ワースト2位で、近年はなり手不足と高齢化による廃業が進んでいる。入れ歯などの製作期間が長期化し、口腔(こうくう)ケアに悪影響を及ぼす恐れがあり、関係団体は国に対応を求めている。(河津真行)
歯科技工士が患者の歯を模した石こう模型を手に、ドリルで差し歯の表面を削っている。別の技工士は歯の3Dモデルを表示したパソコンを操作し、歯のかぶせものを作成している。
柏市の歯科技工所「アドバンス柏」では、約10人の技工士が差し歯や矯正器具の製作に集中していた。同社には東葛地域を中心に月2500~3000件ほどの注文があり、入れ歯などを毎日100~200点ほど作っている。
男性技工士(24)は「様々な器具をきれいに作ることがやりがい」と話す。同社の大学泉介社長(45)は「食べ物をしっかりかむことは内臓の負担を減らすうえで重要。健康維持には技工士の技術が不可欠だ」と力を込める。
一方、技工士の高齢化に伴い、近年は「後継者のいない歯科技工所で、合併や廃業といった話が増えている」という。
歯科技工士は全国的に減少傾向にある。厚生労働省の公表資料によると、2000年には全国で3万7244人が従事していたが、24年には3万1733人と15%減った。04年に26%だった50歳代以上の割合は、24年には56%に増えた。
特に千葉県内の不足が深刻だ。県医療整備課によると、24年末現在、県内の歯科技工士(就業者)は923人。実数では全国9位だが、人口10万人あたりでは14・8人で、全国ワースト2位だ。県歯科技工士会(千葉市中央区)によると、県内に歯科技工士を養成する学校がなく、志望者が県外に流出しやすい構造がある。
歯科医師免許を持つ鷲見隆仁県議(自民党)は県議会9月定例会で、「県内で歯科技工士不足が深刻な状態にある」と指摘。県の山口敏弘・保健医療担当部長は「人口あたりの就業者数が全国平均を大幅に下回る厳しい状況」との認識を示した。
歯科技工士不足の深刻化は「入れ歯難民」を生みかねない。県歯科医師会(千葉市美浜区)の元会長・砂川稔さん(69)は「かつてに比べて入れ歯の製作期間が延びている。今後は更に時間がかかるようになる可能性もある」と危機感を募らせる。
同会は21~24年度、「歯科技工士プロジェクトチーム」を設置した。砂川さんが委員長を務め、技工士の魅力向上や確保に向けた提言を取りまとめた。
砂川さんは歯科技工士に認められている業務の幅が狭いことを問題視している。歯科技工士は直接、患者の口腔内を触ることが認められておらず、砂川さんは「患者と直接触れあう機会が少なく、医療に関わっているという実感を持ちにくい状況にあるのではないか」と指摘する。
また、技工料の公定価格の低さが低賃金につながっているとし、国に引き上げを求めている。
砂川さんは「歯科技工士を増やすには、若者にとって『なりたい職業』にすることが重要。国には公定価格を上げると同時に、臨床に関わる業務の幅を広げ、歯科技工士が医療人としてのやりがいを持てるようにしてほしい」と訴えている。