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皆さん、お酒は好きでしょうか?

僕は下戸でほとんど飲めません。乾杯!のビールですらグラス一杯を飲み終えた記憶は

ありません(笑) 酒は百薬の長などとも言いますが、残念ながら僕には無縁です(笑)

では、今日の本題。

アルコールと歯科疾患について。

          小林隆太郎先生・日本歯科大学口腔外科教授

の記事を紹介します

 

  歯の健康は身体の健康、ひいては健康寿命につながるということは、ほとんどの方が知っていると思います。では、口腔(こうこう)内を清潔にすることが、糖尿病などの生活習慣病と関わりがあることはご存知でしょうか。あるいは、口腔内を清潔にすることが、認知症予防に役立つことは知っていますか。

お酒を飲むときは歯にもいたわりを(写真はイメージです)

 お酒好きな方は、飲酒と虫歯との関わりやお酒で歯が擦り減りやすいことをご存知ですか。日本歯科大学口腔外科の小林隆太郎教授に、歯の健康と生活習慣病との関わりについて伺いました。

 ◇「飲んでそのまま寝る」は赤信号

 海原 お酒と虫歯の関わりや、お酒で歯が擦り減るというのは、お酒好きな方にはショックだと思いますが、お酒は歯の健康にはよくないのでしょうか。そのあたりのメカニズムを教えてください。

 小林 お酒そのものが、虫歯や歯周病に直接的に悪いわけではありません。想像がつく光景ですが、お酒を飲んだ後、歯を磨かずに寝てしまう。これが良くないことです。習慣化してしまっては、虫歯、歯周病を進行させる原因となり、大変なことになってしまいます。

 また虫歯以外に、酸蝕症(さんしょくしょう)の知識も大切です。pH値が低い飲み物は、歯を溶かしてしまうリスクがあります。(注=pH値は水素イオン濃度による分類で、pH7を中性の基準値として、7より高いとアルカリ性、低いと酸性であることを示す)

 海原 酔っぱらってすぐ寝てしまうのは最悪なわけですね。pH値が低いアルコール飲料で、特に気をつけなければいけない種類などはありますか。

 小林 歯の表面、エナメル質が溶けるpH値が5.5以下です。主なアルコールのpH値は表の通りです。

 ◇飲酒後は口すすぎを

 海原 お酒の種類でかなり差がありますね。大半のpH値がかなり低いので、改めてびっくりしました。お酒を飲んだ後はお店を出る前に一度、口をすすぐだけでも、予防になりますか。

 小林 歯は、表面がエナメル質、その内側が象牙質です。ちなみに、エナメル質は骨よりも硬く、体の中で最も硬い部分です。そんなに強い、歯を守っているエナメル質も、pH値5.5以下の飲み物が歯に当たることで、溶け出してしまいます。象牙質が溶け出るのは、pH値6.2以下と言われています。

 しかし、実際には、中和剤としての唾液が十分に流出していれば、歯が溶けなくて済みます。通常、短時間触れるだけなら、pH値5.5以下の飲み物が歯に触れても、唾液の力で修復されるので、問題ないとされています。

 歯が溶ける状態は、pH5.5以下の飲み物に長い時間、触れることで起こります。お酒を飲んでいる時のおつまみや水など、中和作用の食物、飲料、特に唾液のおかげで大きな問題にならないと考えられます。食後、飲酒後にお茶、お水などを口に含む習慣はいいことですね。

◇歯周病と糖尿病に相関関係

 

 海原 お酒を飲むときはチェイサーとしてお水を時々飲んでおくのがいいのですね。では、口腔内が清潔でないことと、糖尿病とは、どのような関係があるのでしょうか。

 小林 糖尿病と歯周病の間には、双方向の関連性があると言われています。すなわち、糖尿病が歯周病の進行を促進し、一方、こうして重症化した歯周病が、逆に糖尿病の病態に悪い影響を及ぼすという内容です。

 歯周病による炎症物質がインスリンの働きを妨げ、血糖値が上がると言われているからです。

音楽に合わせてガムをかみながら木製ダンベルを上げたり下ろしたり。ガムをかむことでそしゃく力も向上させる体操=東京都豊島区の高岩寺(写真と本文は直接関係ありません)


 海原 認知症との関わりも気がかりな方が多いと思います。認知症を防ぐ上で注意しておきたいポイントはありますか。

 ◇かむことが大事

 小林 やはり、口腔内の健康が関係しているようです。マウスを使った研究で、歯周病やソフトダイエット(流動食)が認知症を来すことが明らかになりました。

 そしゃくの低下が直接、認知機能障害を引き起こすのではないかと考えられています。種々な研究により歯周病とアルツハイマー型認知症の関連が示唆されています。

 そこで今後、歯周病の予防や口腔ケアによる介入、そしゃくリハビリテーションなどにより、そしゃくそのものを増強させる介入によって、認知症を防げるかなどの臨床研究が重要とされています。

 海原 かむことが認知症の予防になるのですか。

 小林 歯科と認知症の関連のメカニズムについて簡単に説明しますと、まず一つは、歯周病という慢性炎症で脳内炎症が引き起こされ、アルツハイマー病病態が増悪し、認知症を誘発する場合です。

 もう一つの要因としては、抜歯や歯の欠損でソフトダイエットになり、そしゃく機能低下が起こり、海馬神経が脱落し、認知症を誘発するという場合です。

 従って、適切にかめることは、そしゃく機能の維持に大切なことであり、認知症誘発予防に関連があると考えられています。今、いろいろな研究が国内外で行われています。

 海原 きちんとかむことができる歯を維持しておくことが大事なんですね。歯の健康というと、食後の歯磨きがすぐ頭に浮かびますが、仕事やお付き合いのお酒の席の後のケアや歯周病予防も大事ですね。

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